三井住友銀行が支店を積極的に減らしている理由とは？メガバンクの店舗戦略を比較分析

近年、都市銀行による支店の統廃合が急速に進んでおり、特に三井住友銀行が他行に比べて支店数の削減を加速させている点が注目されています。本記事では、三井住友銀行がなぜ店舗縮小を進めているのか、UFJ銀行（三菱UFJ銀行）との比較を交えながら解説していきます。

デジタルシフトが支店削減を後押ししている

スマートフォンの普及やネットバンキングの進化により、顧客の銀行利用は店舗からオンラインへと大きく変化しています。三井住友銀行はこの潮流をいち早く捉え、「デジタルバンク」化を戦略の柱として推進しています。

例えば、口座開設・各種手続き・振込・投資商品申込など、以前は支店でしか行えなかったことが、スマホアプリひとつで完結する時代になりました。これにより、支店の物理的な必要性が大幅に低下しているのです。

三井住友銀行は2019年以降、「窓口ゼロ支店」や「完全キャッシュレス店舗」の設置を拡大しています。これは、有人対応を廃止し、タブレットとビデオ通話でオペレーターが対応する新しい支店形態です。

このような形態を積極展開しているのが三井住友銀行の特徴で、従来型支店をどんどん廃止または統合しつつ、都市部にスマート型の拠点を再配置しています。

三菱UFJ銀行も当然ながら支店の統廃合を進めていますが、そのスピードや範囲においては三井住友銀行に比べてやや慎重です。理由のひとつは、MUFGが地方顧客への対応や法人取引の拠点としての支店維持を重要視しているためです。

また、三菱UFJ銀行はグループ会社である「MUFGデジタルサービス」との連携で新しい顧客層の獲得に注力しつつも、従来のフルバンキング機能を支店で提供し続ける体制を取っています。

超低金利環境下で銀行の収益は圧迫されており、コスト構造の見直しが急務となっています。特に人件費・不動産費がかかる支店維持は、削減対象の筆頭に挙げられます。

三井住友銀行は、早期退職制度などで人員削減を進めながら、デジタル人材の再配置にも取り組んでおり、効率経営へ大きく舵を切っています。

高齢者を中心に「窓口がないと不安」「相談したいことがある」という声も少なくありません。三井住友銀行はその対策として、テレビ窓口やスマホでの有人チャット対応を強化し、サポートの質を保っています。

また、ATMの相互利用や提携コンビニATMの拡大も進められており、「物理的な近さ」ではなく「デジタルの使いやすさ」で顧客満足を担保する仕組みが整ってきています。

三井住友銀行が他行よりも支店削減を進めている背景には、いち早くデジタル時代を見据えた店舗戦略へのシフトがあります。これはコスト削減だけでなく、顧客利便性とサービスの質を維持・向上させる狙いも含まれています。

今後も都市銀行はそれぞれの強みを活かしつつ、支店の在り方を模索していくでしょう。ユーザーとしては、利用する銀行の店舗政策を理解し、必要に応じてアプリの使い方や非対面手続きにも慣れていくことが重要です。